着床前診断による男女の産み分け


着床前診断による男女の産み分けは日本では禁止されています

一般的な方法と言えば出生前診断ですが、医療技術が発達したことで「着床前診断」という検査も新たに開発されました。


胎児になる前の受精卵を調べる出生前診断


出生前診断では体外受精を行った受精卵から細胞を取り、遺伝子や染色体の解析を行います。
これにより異常や疾患の可能性があるのかを調べることが出来るのです。
何も異常が発見されない場合は子宮に戻されますが、もし異常が見つかった場合は“廃棄”されてしまいます。

着床前診断は主に欧米のほうで発達した検査方法です。
キリスト教のカトリックの国で中絶は、禁止行為とされています。
そこで胎児になる前の受精卵の段階で調べ、万が一の時は廃棄しようという考えが生まれたのでしょう。
この検査に対しては、積極的に評価する人もいれば、逆に受精卵だって立派な「人」であり中絶したことに何ら変わりはないと考える人も少なくなく、意見は賛否両論となっています。

着床前診断は、大きく分けると2つの検査方法で行うことが出来ます。

1つは「着床前遺伝子診断」という検査で、PGD(Preimplantaion Genetic Diagnosis)のことを言います。
そしてもう1つはPGS(Preimplantation Genetic Screening)、「着床前遺伝子スクリーニング」です。

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遺伝性疾患の可能性を排除する目的のPGD

日本でPGDが行われるのは、重篤な遺伝子疾患を持つ夫婦に限られています。
2004年、慶応大学が筋ジストロフィーの子どもを過去に出産した夫婦を対象にし、日本で初めてPGDを行いました。
それからというものの、PGDはあくまでも臨床研究の一環として行われるようになっています。

男女の産み分けや染色体異常を調べる目的のPGS


PGDに対しPGSは染色体異常を調べたり、男女産み分けを目的に行うため、学会では基本的に禁止行為としてみなしています。
しかし中には、PGSの解禁を求める声があるのも事実です。
これを受け兵庫県のある産婦人科医では、禁止行為として承知しながらもPGSの実施と結果を公表しているところもあります。
担当医師はホームページ上で「不妊症や習慣流産でお悩みの方が新しい命を育むための技術です」と前置きし、PGSの存在価値を主張しているのです。
染色体異常の胚は97パーセントが流産、死産してしまいます。

その一方、PGSさえ行えば胎児として発育できる胚だけを子宮に戻すことができるのも事実です。
この考え、もっとものような気がしますが実はヨーロッパの研究でPGSで受精卵を選別したとしても流産率は改善せず、妊娠率も上昇しないという結果が発表されています。
仮に技術が改善され流産率が低下したとしても、そもそも妊娠する確率の向上を目的とし不妊治療を行っている方たちにとっては、根本的な違いが発生してしまうのです。
異常が見つかった受精卵を“廃棄”出来るとしても、歓迎してくれる方は少ないのではないでしょうか。
また、障害のある子供は何も染色体や遺伝子の異常だけが原因になっているわけではありません。
確率の問題であって、必ず一定の割合で生まれてくるのです。

心臓の奇形といった大きな症状から指が1本多かったり少なかったりと比較的軽症のものまでを含めると、約2.5~4.5%を占めていることが分かっています。
これは22~40人の赤ちゃんのうち1人の割合で、何かしらの先天異常が起きている計算になります。100件のうちだとすると、2.5~4.5人の割合ということです。
現在の日本では、ダウン症の患者さんが音楽や絵画など、芸術方面で才能を発揮し高く評価されている方も多いですよね。自身がダウン症であることを隠さず、健常者同様いろいろな場で活躍されています。
「ダウン症でも生きていける」ということを社会に伝えているかのようです。ダウン症は、その子供の表現や1つの個性であって、“異常”や“障害”ではないのが、今の考え方となっているはずです。
遺伝子の異常もまた、人間の多様性として捉えるのが大切なのかもしれません。
また、私たちは自分のことを正常者として勝手に位置づけていますが、そもそも身体の中ではたくさんの遺伝子異常が発生しています。たまたまそれが表に出なかっただけなのです。

一方、PGSのの問題は男女の産み分けの際に注目されます。
性別は染色体によって分かるので、着床前の受精卵を調べれば簡単に男か女かが分かります。

2012年7月の読売新聞に「男女産み分け タイで90組 着床前診断 2月以降 日本から渡航急増」と掲載されました。
記事の内容は、日本でのPGSによる男女の産み分けが禁止されているため、わざわざタイに渡航しPGSを行った夫婦が12年間の間で90組もいたことが判明した!というものです。

男の子が欲しいから女の子になりうる胚を破棄する、もちろんその逆のパターンもあります。
事業の跡継ぎが必要だから、高齢出産だから確実に女の子が欲しい…など切実な悩みを抱えているからこそ下した判断なのかもしれません。

しかし、一般的に考えると許されまじき行為であり、理解を得るのは難しいと思われます。

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